【常連さん】2人目:やなぎさん
RRコーヒーにいらっしゃる常連さんからお話を伺う、タイトルそのまんまの【常連さん】のコーナー。お2人目は、珈琲屋台1号車が走り始めた当初からずっと、荒川区町屋の出店場所に通ってくださっている、やなぎさんです!
(聞き手・文・写真:有村遊馬)
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ーとても素敵な着物をお召しですね!
やなぎさん(以下・や):ありがとうございます。普段から週の半分くらいは着物で生活していますよ。IT系のコンサルタントをしていて、在宅でのリモートワークが多くなったということもありますね。コロナ前はよくクライアントのオフィスにお伺いしていたんですが。よく自分でコーヒーを淹れて飲みながら仕事をしています。
ーコンサルというとハードなイメージもありますが、そうやってリラックスされていると集中力も高まりそうですね。やなぎさんは、町屋の珈琲屋台出店地近くにお住まいなんですよね。どんな地域なのでしょうか?
や:元々は神奈川県出身で、大阪にも住んだことがあるんですが、転職・結婚を機に町屋に引っ越しました。それから10年くらいになります。人柄も居心地すごく良いので、もう離れられなくなっちゃいましたね。
このあたりは昔から長く住まれている方も多いので、ご近所付き合いもちゃんとあります。ずっと住んでいる方と、最近増えてきた移住者が入り混じっている感じです。
個人経営でこだわりある飲食店も多いんです。最近、近所で人気の海鮮居酒屋さんに名前を覚えてもらって、そこの常連さんとつながりができたのがうれしかったですね。
ーそういう雰囲気の町、大好きです。駅前にもいい感じのお店が並んでますね、私も今度ゆっくり飲みにきます(笑)。ところで、やなぎさんが好きなことや、シアワセだな~って思うのは、どんな時でしょうか?
や:いろんなことやっているので、絞るのが難しいです(笑)
それこそ着物で週末に浅草まで散歩して和風の小物を集めたり、日本の伝統文化が好きですね。良い生地を見つけて、着物に仕立ててもらうのはうれしいですね。
古典や民俗学も好きでよく読むんです。おばけや妖怪みたいな存在は実在していないけど、昔話がつくられた背景があるはずなんです。どんな背景があるんだろうとか想像しながら読みますね。
ー日本の古いお話は、どういうところに惹かれるんですか?
や:「人外」という、人間の常識の外の世界のことを表す言葉があります。大人になると、自分ができることの上限をきめちゃいがちですよね。私は当たり前ということがあまり好きじゃないんですが、そんな「人外」の話は殻をやぶってくれるんです。
文章は読むだけじゃなく、自分でも趣味で書き溜めています。昔はインターネットで公開することもありましたよ。またいつかどこかで発表したいなと思っています。
ーじっくり文学の世界に入り込む時間、贅沢で素晴らしいですね。自分だけが分かるこだわり、みたいなものってありますか?
や:パソコンを自分で組み立てたりもするんですが、とある国産メーカーのコンデンサーが故障がなくて長持ちするんです。
いろんなメーカーのものを使ってきたんですが、結果的に長く使えるものは日本製のものが多かったですね。最近は海外製でも良いものが増えてきましたが、やっぱり日本の職人気質なこだわりなんでしょうか。着物や伝統工芸品も同じで、品質や細部の仕上がりの高さがとても信頼できます。
ーコンデンサーにまで職人技が行き届いているんですか。
や:それから、私はどんなものでも、悪いところじゃなくて良いところを見つけるにしています。ある意味、これも「こだわり」ですね。
たとえ賛否両論、厳しい見方をされることが多い物事でも、それを好きな人が少しでもいれば、必ず良い部分があるはずだと思っています。そういう視点をなくしたくないですね。
ーとても共感します。私も大勢の意見をそのまま受けるだけでなく、自分の頭でとらえるようにしたいなと思っていますが、ついつい流されてしまうこともあるので見習いたいです。最後に、やなぎさんの感じられるRR COFFEEの魅力を聞かせていただけませんか?
や:キッチンカーという形態にもかかわらず、浅煎りから深煎りまでバリエーションをそろえているというのは魅力だと思います。メニューに浅煎りがあると言うだけでも珍しいと思っていました。
また、キッチンカーという形態で、テイクアウトで受け取ってすぐにさようならという訳でもなく、近所の皆さんと雑談しながら営業をされているという雰囲気が、私はとても好きです。
◇聞き手から
いつも優しくさわやかで、うなぎロースト・エチオピアの浅煎りがお気に入りのやなぎさんでした。伝統工芸とコンデンサーに共通する職人魂があるとは意外でしたが、高い品質を裏付けていると言われると納得。人外の話もとても興味深く、これら一見バラバラの物事も、共通する内面や細部に目を配る視線には、やなぎさんのやさしいお人柄があらわれているなぁと、温かい気持ちになりました。