メキシコ鍋コーヒー
文:蓑毛宏明
所要で5月の末に1週間ほどアメリカへいった。が、したいのはメキシコでの話だ。帰国便、乗り継ぎ6時間、メキシコ・シティ国際空港。それはそれは時間にも余裕がある。搭乗口付近のレストランで本場のタコスでも食ってやろうという一期一会の下心を抱きながら、私は人生で初めての太陽の国へ降り立った。せっかくだからワカモレも食べようと思案しながら「Connecting Flight」の方向へ。しかし、乗り継ぎゲートにて私を阻んだのは、プロレスラーのような大男。
「Salida、Salida」
スペイン語なので分からなかったが、フランス語で出口がSortieだということを、エスプレッソのきっかけの22歳の時に学んだ私は、どうやら「出口から出ろ」と言っていることを直感した。そして、訳もわからずメキシコ・シティへ解き放たれた。
メキシコ×コーヒーに急に興味がわいてきた。空港で幸運にもメキシコ在住歴7年の日本人男性と出会った。ANAのチェックインカウンターがあくまで少々世間話をさせてもらった。「カフェ・デ・オーヤ(café de olla)」という、メキシコの伝統的なコーヒーの飲み方があるという。スペイン語で「鍋のコーヒー」。そう、鍋に深煎り細挽きのコーヒー豆と水を入れて、沸騰しないような火加減で煮出したコーヒーをろ過して飲むスタイルだそう。シナモンやオレンジピール、黒糖シロップも入れて、労働者の疲労回復ドリンクだという。面白すぎる。
百聞は一見に如かず、帰国後さっそくうちの豆で試してみた。ごっくり。おお、強い!液体の隅々にまでコーヒーの味がびっしりいきわたっている感じ。「うなぎ鍋コーヒー」期間限定でやってみようかしら。Salida大男、出口から出してくれて、グラシアス。
1件のコメント
鍋のコーヒー!
めちゃくちゃ新しいですね。
コーヒー豆と水を入れてコーヒー味になるのも驚きです。
シナモン、オレンジピール、黒糖シロップ全部美味しそう、試してみます!