ある日の夜
写真と文:みち
もともと珈琲が好きだが、生活環境の変化や仕事に追われてインスタントコーヒーに頼る日々を送っていた。
ある日の夜、集中力を切らしたタイミングで手挽きのコーヒーミルをいただいたことを思い出し、せっかくだからと使うことにした。
ほぼ初めての試みで慣れないこともあり、準備から飲み始めるまでに15分ほどかかってしまった。
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もちろん味は良かったが、それだけではない満足感が残った。
挽いた豆から立ちのぼる香りを愉しめたこともあるが、何よりも普段あれだけ惜しんでいる時間を珈琲のためだけに使うことのなんと贅沢なことか!
その日は、カフェインを摂って集中力が高まることはなく、心地よい解放感に包まれてそのまま眠りについてしまった。
ずいぶんと、高級な珈琲の味を知ってしまった夜だった。